ドライアイ、ドライマウス

ドライアイやドライマウスは、「年齢のせいかな」「疲れ目やストレスかもしれない」と考えがちな症状ですが、なかには全身性の自己免疫疾患が隠れている場合もあります。とくに症状が長引いていたり、市販の点眼薬やうがい薬では十分に改善しない場合には、専門的な評価を受けることが大切です。

ドライアイ・ドライマウスとシェーグレン病(旧称 シェーグレン症候群)

目の乾きが強く、「常にゴロゴロする」「しょぼしょぼしてPC作業がつらい」「コンタクトが入れにくい」といった症状が続くとき、単なる疲れ目だけでなく、涙の分泌が低下している可能性があります。口の渇きも、「水分が手放せない」「パンや乾いたものが飲み込みにくい」「夜間に何度も水を飲みに起きる」といった状態が続く場合は、唾液分泌の低下が疑われます。こうした重症のドライアイ、ドライマウスの鑑別として、自己免疫により涙腺や唾液腺が障害されるシェーグレン病が重要な疾患のひとつです。

シェーグレン病は、口や目の乾燥症状だけでなく、関節痛、全身倦怠感、皮疹、肺や腎臓などの臓器障害を伴うこともある全身性の膠原病です。早期に診断し、乾燥症状や合併症に対して適切な治療・ケアを行うことで、日常生活の質を大きく改善できる可能性があります。

難病指定医による診断と難病申請

シェーグレン病の診断には、問診・診察に加えて、自己抗体の血液検査、涙の量を測定する検査、唾液腺機能検査、場合によっては小唾液腺生検などを組み合わせて総合的に判断していきます。当院は、他院眼科や他院耳鼻科(口腔・唾液腺領域)とも連携して、それぞれの専門的な検査結果を共有しながら診断を進めていきます。「まずどこを受診したらよいか分からない」という場合も、当院を窓口として適切な連携先をご提案します。

シェーグレン病は指定難病のひとつであり、一定の条件を満たす場合には医療費助成の対象となります。当院では、難病指定医として認定を受けた医師が在籍しており、診断から難病申請書類の作成まで一貫して対応が可能です。病状や検査結果を踏まえて、申請の必要性や手続きの流れについても丁寧にご説明いたします。

治療の選択肢と当院の役割

ドライアイに対しては、点眼薬(人工涙液やヒアルロン酸製剤、必要に応じて抗炎症点眼など)を中心に、生活上の工夫(加湿、PC作業時のまばたきの意識など)も含めて治療方針を考えます。ドライマウスに対しては、唾液分泌を促す薬剤や口腔保湿剤の使用、虫歯・口腔感染症を防ぐためのケアなど、症状の程度や背景に応じた対策を組み合わせていきます。全身性の炎症が強い場合には、免疫抑制薬などを用いた膠原病としての治療が必要となることもあります。

「歳のせい」「体質だから」とあきらめてしまう前に、一度きちんと評価を受けることで、治療により症状が軽くなる可能性があります。当院では、膠原病専門医としての立場から、ドライアイ・ドライマウスを「全身の病気のサイン」として捉えつつ、日常生活で困っている症状を少しでも和らげることを目標に診療を行っています。目や口の乾きが続いて気になる方は、「これくらいで受診してよいのだろうか」と迷わず、お気軽にご相談ください。病気の説明から検査・治療の選択肢、必要に応じた難病申請まで、丁寧に対応させていただきます。